新製品開発室
スタンダードモデル開発ストーリー
第1話
業界初、二輪ライダー専用の時計を作りたい
こだわりの国産腕時計メーカー「KENTEX」の挑戦
こんにちは、ケンテックス2代目代表の橋本です。当社は来年で30周年を迎える数少ない国産腕時計メーカーです。200年前、ゼンマイ仕掛けの機械式構造から始まった腕時計は、今では電池式、ソーラー発電、電波・GPSと、そのテクノロジーの発展とともに、多様な価値をもつ道具へと進化し、趣味・ファッションとしての楽しみから、ハイブランドを身にまとう充足感、専門的な職業に必要とされるものまで、持つ人の生活シーンを彩り、人生に喜びと楽しみを与えてくれるツールへと進化を遂げてきました。
そんな腕時計を、私達は人生の大切な“相棒”として考えています。
創業以来大事にしてきた開発ポリシーは「ストイックなまでの実用性の追求」です。
万人受けを狙うのではなく、特定の領域に深く切り込み、徹底的にユーザー目線での実用性を追求する。 だからこそ、持つほどに作り手の細かなこだわりが感じられ、使うほどに愛着が湧く製品の開発が実現します。
これまで当社では、プロダイバーに向けた、ISO準拠の200メートル潜水防水時計や、自衛隊が任務で使用できるJSDFモデル(防衛省共済組合契約商品)、救難レスキューのための航空救難団専用モデルなど、数々の特殊なプロウォッチを開発してきました。
そして次なる挑戦として、二輪ライダーのバイクライフをより豊かに充実させる、実用的な「二輪ライダー専用ウォッチ」の開発をスタートしました。
なぜ二輪専用ウォッチなのか?
もともと、私たちのメカニックでアナログ気質な職人魂から生み出される腕時計は、少数ながら一部のバイク愛好家にも親しまれる存在でした。
ところが、実際にライダーの生の声を聞くと、バイクに乗る際は時計自体を着けない人も多いことを知り、大きなショックを受けたことが開発に踏み出す原動力となりました。
ではなぜバイクに乗るときに腕時計を着けないのでしょうか?
現役ライダーの様々な意見を通じて、私たちはその理由を知ることになりました。
バイクの振動で時計が遅れてしまう、リューズが手首に当たってハンドル操作の邪魔になる、ライダースーツの袖口がひっかかる・・・
その理由は単純。バイクに乗る際に、腕時計は邪魔になってしまう存在だったのです。
そして、この不便を解消する二輪ライダー専用の腕時計は、まだどこにも存在していなかったのです。
国産時計メーカーとしてのプライドに火が点きました。
「バイクの一部のように、ツーリングにも一緒に連れて行ける腕元の相棒を作りたい」
そんな想いに真っ先に賛同してくれたのが、日本で唯一腕時計と自動二輪を融合した画期的なコンセプトショップを営む、引田時計店代表の引田和法さんでした。
その動きは直ぐに業界関係者にも広がっていき、週間バイクTVのMCである末飛登(マヒト)さん、全日本ダートトラックレースのチャンピオン大森雅俊選手など、バイク業界の第一線で活躍する著名な方々を巻き込み、大きな開発プロジェクトチームが2017年に発足したのでした。
橋本 直樹
ケンテックス社2代目代表。先代の職人気質と技術屋魂を受け継ぎ、自衛隊時計やレスキューモデルなど、専門性の高いプロ用ウォッチを次々に開発。
時計のことを語ると止まらなくなる。今回、国産時計メーカーとして初となる、二輪ライダー専用ウォッチの開発プロジェクトを立ち上げる。引田 和法
引田時計店EVES代表。
時計修理技能士でありながら、バイク好きが高じて日本で唯一、時計とモータースポーツを融合させたコンセプトショップを運営する。さらにレーシングチームのスポンサーに乗り出すなど、そのバイク愛は筋金入り。
まさに時計とバイクの両方を知り尽くしたスペシャリスト。末飛登(まひと)
週間バイクTV(千葉テレビ)にて15年以上メインMCを務めるバイクの伝道師。
多彩な才能で、大阪芸術大学卒業後は、筋肉少女帯の大槻ケンヂ氏とともに、アコースティックユニット「T.P.M」を結成し、ライブ活動やイベントに出演。
同時にBAY-FMでFMパーソナリティも務める。現在は自身がボーカルを務める「HALFWAY Boys」でアーティストとしても活躍する、異色のバイク愛好家。大森 雅俊
日本が誇るダート界のサムライダー#70 MASA。
全日本ダートトラック選手権王者。国内敵なしの強さで、09年から米国AMAフラットトラックレースに参戦するなど国内外で活躍。
その深すぎるバンク角で、「スライドキング」の異名も持つ。モトGP王者のマルケスからもその妙技をリスペクトされ、15年にはGPライダーや欧州のダート王者が参戦するビッグレース「スーパープレステージ」に参戦し、最も観客を沸かせた選手に贈られる「パフォーマンスコンテスト」を2年連続で獲得。
自身の出身地でもある、茨城県の常陸大宮大使も務める。
デザインが出来上がるまで
時計作りのプロ、日本一のバイク通、プロレーサーが集い、いよいよ本格的な開発がスタートしました。各々が多忙な合間を縫って開催される開発ミーティングでは、ユーザー目線でのハイレベルな要望が次々に出されます。毎度出される難題に、技術的な解を模索する日々が繰り返されました。
作り手と、ユーザーが妥協のない本気の議論を交わす商品開発こそが、ケンテックスの真骨頂です。
デザイン初期段階
もともと、私たちのメカニックでアナログ気質な職人魂から生み出される腕時計は、少数ながら一部のバイク愛好家にも親しまれる存在でした。
ところが、実際にライダーの生の声を聞くと、バイクに乗る際は時計自体を着けない人も多いことを知り、大きなショックを受けたことが開発に踏み出す原動力となりました。
ではなぜバイクに乗るときに腕時計を着けないのでしょうか?
現役ライダーの様々な意見を通じて、私たちはその理由を知ることになりました。
バイクの振動で時計が遅れてしまう、リューズが手首に当たってハンドル操作の邪魔になる、ライダースーツの袖口がひっかかる・・・
その理由は単純。バイクに乗る際に、腕時計は邪魔になってしまう存在だったのです。
そして、この不便を解消する二輪ライダー専用の腕時計は、まだどこにも存在していなかったのです。
国産時計メーカーとしてのプライドに火が点きました。
「バイクの一部のように、ツーリングにも一緒に連れて行ける腕元の相棒を作りたい」
そんな想いに真っ先に賛同してくれたのが、日本で唯一腕時計と自動二輪を融合した画期的なコンセプトショップを営む、引田時計店代表の引田和法さんでした。
その動きは直ぐに業界関係者にも広がっていき、週間バイクTVのMCである末飛登(マヒト)さん、全日本ダートトラックレースのチャンピオン大森雅俊選手など、バイク業界の第一線で活躍する著名な方々を巻き込み、大きな開発プロジェクトチームが2017年に発足したのでした。
デザイン中期段階
初期段階の基本コンセプトをベースに、実用性とデザインがよりブラッシュアップされていきます。先ず、装着時に腕元のハンドル操作が邪魔にならないよう、リューズやプッシャーボタンが全て9時位置へと変更されます。そして、より高い視認性を追求するため、盤面のカーボンパターンを細かいものへ変更し、数字の書体と針形状の見直しが行われました。またガラスは透明度が高く傷がつかないサファイヤガラスに、無反射コーティングを施す本格仕様としました。
クロノグラフは、視認性を考慮して、サブダイヤルを12時と6時の2つ目に変更し、時速計測が可能なタキメーター機能がベゼルに新たに搭載されます。
さらに、ライダージャケットの上からでも時計が装着できるよう、バリスティックナイロン製のベルクロベルトを新たに設計。ベルトは、6角レンチで簡単に交換可能な構造としました。ここからカラーバリエーションの選定に入ります。黒や白、青などの画一的な色使いではなく、色にも二輪用時計としての意味が欲しい。開発チームは最終的に、時計の色選びも自分のバイクと合わせて選べるよう、国産バイクメーカーのシンボルカラーにならった、レッド、グリーン、ブルーの3種類のカラーを用意しました。
デザイン最終段階
「もう一歩バイクらしさを加えられるよね。」
わずかな1滴を絞りだすようなプロフェッショナル達の飽くなき開発魂が、さらに完成度の高い、こだわりのディテールへと結実していきます。
平坦であったラバーベルトデザインは、レーシングスーツのボディパッドに着想を得て、見直しが図られます。ラバーの下地に、山型のパッドを埋め込み、その上からパンチングレザーを縫い付けるという、ラバーと革のパッド型一体成形のアイデアが生み出されます。これによって、ベルトに実用性とデザインの両面から二輪時計に相応しい強い個性が生まれました。
また、文字盤の12時サブダイヤルには、黄色と赤のカラーリングが施され、タコメーターと同じように時刻を見てほしいという開発陣の想いが込められたデザインとなりました。
そして、時計の組立時に最後に取り付けられる裏蓋には、バイクに命を吹き込む意味を重ねて、給油口のデザインが刻印によって表現されました。
文字盤デザイン
裏蓋デザイン
構想から2年、開発スタートから1年以上の歳月を経てデザインアップした二輪ライダー専用モデルは、バイクを意味する“MOTO(モト)”と時計の動力源となる“MOTOR(モーター)”を融合させ、“MOTO-R(モトアール)”と名づけられました。
新製品開発室
スタンダードモデル開発ストーリー
SPカスタムモデル開発ストーリー